あらすじ島の北にある山の頂きに「エンマ岩」と呼ばれる岩があった。ペーターは幼い頃、その岩に関する昔話を聞いたことがあった。
だがある日、ドンチャンという強欲なハムスターが土地開発のために山を崩そうとしたところ、エンマ岩が動き出してしまい、大惨事に至ってしまう。

動物たちが平和に暮らす島。ここの北に高くそびえる山の頂きに「エンマ岩」と呼ばれる岩があった。
誰がそう呼び始めたかは定かではないが、その岩の表面にはこちらを睨みつけている恐ろしい顔のような模様があった。
それが地獄にいると言われる「エンマ大王」の顔に似ていることから由来しているのだろう。

ある日、ペーターたちが学校から帰る途中のことだった。
ペーター「ねぇねぇ、あの山に大きな岩があるでしょ?ボク、小さかった頃にあの岩に関する昔話を聞いたことがあったんだ。」
レム「どんなお話?ふわぁ」
ペーター「あのね、まだボクのお婆ちゃんがボクたちぐらいの歳だった頃、この島で『戦争』っていうものが起きて、人がたくさん死んだんだって。その死んだ人たちを山に埋めて、目印がわりに置いたのが、あの『エンマ岩』らしいよ。」
ミッチェル「へぇ〜、知らなかったよ。くりりん」
ペーター「それでね、不思議なのは、最初あの岩には模様なんて付いてなかったんだって。いつの間にか、あんな怖い模様が現れたっていう話なんだ。」
レム「どんな模様なの?」
ペーター「こっちを睨みつけるような怖〜い顔をしてるんだ…まるで監視しているような…。」
ミッチェル「か、監視だって!?」
ジャック「馬鹿馬鹿しい、そんなの作り話さ!だいたい、岩に目があるワケ無いじゃないか!」
ペーター「そりゃそうだけど・・・」

そんなある日のこと、ペーターたちが例の山へ木の実採りに行くと、山の入り口にロープが張られ、傍には「危険!立入禁止」の看板が立っていた。
ペーター「あれれ、どうしたんだろう・・・?」
それから数日後、エンマ岩の山に工事車両が数台止まった。
そのうちの1台から、サングラスをかけた雄の中年ハムスターが降りてきた。
???「ヘッヘッヘ、遂にこの計画を実行する日がやって来たわい。じゃけぇ」
そこへペーターたちがやって来た。
ペーター「おじさん、ここで何をするんですか?」
???「ワシはドンチャン、ジュリアンナ土地開発会社の社長じゃ。この山を崩して、『ジュリアンナテーマパーク』を作ろうと思ったんじゃ。」
ペーターは祖母から聞いた昔話を思い出した。
ペーター「ドンチャンさん、この山には戦争で亡くなった人たちが眠ってるんです。お願いです、崩さないでください。」
ミッチェル「僕からもお願いです!」
ドンチャン「そう言われてもねぇ・・・。おじさん、お仕事でやってるから、どーしても切り崩さないといけないんじゃ。」
ペーター「やめてください!お願いします!!」
ドンチャン「おいっ!このガキをつまみ出せ!!」
作業員「さぁ、ぼうやはお家に帰ろうねぇ〜。」
ペーター「もう・・・どうなっても知らないから!」
ミッチェル「ペーターくん帰ろ・・・。」
ドンチャン「へへっへ・・・!ついにこの機械を使うときがきたぞ!」
作業員「社長、これはなんですか?」
ドンチャン「これか?よくぞ聞いてくれたっ!ドンチャン掘削機1号だ!素早く岩を掘り出してくれる!」
作業員「おおっ!」
ドンチャン「さっそく、こいつの働きを見せてあげよう!ポチッとな」
ドンチャン掘削機のドリルが回転を始め、岩肌を削り始めた。
みるみるうちに岩肌が削れ、地面がむき出された。
作業員「さすが社長、素晴らしい発明です!!」
ドンチャン「どうということは無い、すべてはジュリアンナテーマパークのためじゃ!!グワッハハハハハ!!」
ドンチャンは下品な高笑いをあげた。
その時、下曇りの空から雨粒が落ち始めた。
ドンチャン「チッ、仕方ない、今日はここまでにしとくか・・・」
ドンチャンと作業員は作業を中断し、山を離れた。
その直後、サッカーボール大の岩が転がり落ちてきたが、気づく由は無かった・・・

一方、ペーターは掘削作業をやめさせようと、署名活動をしていた。
ペーター「エンマ岩の掘削作業中止の署名をお願いします!エンマ岩は戦争で亡くなった人が眠る岩なんです!署名の協力お願いしまーす!」
だが、誰も署名してくれる人はいなかった。
ペーター「はぁ…。明日また、出直すか…。」
ペーターが諦めて帰ろうとした時だ。
ミッチェル「ペーターくん、ここで何してるの?」
ペーター「例の山で掘削作業が始まろうとしてるんだ。それをやめさせるための署名活動をしてるんだよ。」
ミッチェル「ボクも協力するよ。」
2人は通り過ぎる人々に署名を呼び掛けた。
ペーター「掘削作業の中止にご協力お願いします!!」
ミッチェル「皆さんの署名が自然保護につながります!!」
だが皮肉にも、3時間で10人足らずの署名しか集まらなかった。
ペーター「これしか集まらないなんて・・・もう諦めるしかないのかなぁ・・・」
ミッチェル「仕方ない…僕からもう一度、ドンチャンさんに頼んでみるよ。」
ペーター「でも、怒らせたら何するか分からないよ。あの人…。」

次の日は快晴だった。
ドンチャンは作業員を引き連れ、エンマ岩の山へ向かった。
ドンチャン「フン、何が『戦争で亡くなった人が眠る山』じゃ!くだらんホラ話につき合うほどワシはヒマじゃないんだ!!」
作業員「社長!ドンチャン掘削機1号を起動させます!」
ドンチャン「おうっ!頼む!」
その時、遠くから声が聞こえた。
ミッチェル「待ってください、ドンチャンさん!!」
ドンチャン「ああんっ?またお前らか!今度はなんの用だ!?」
ペーター「お願いです、山を崩さないでください!!」
ミッチェル「僕からもお願いします!どうか、エンマ岩をそっとしておいてください!!」
ドンチャン「フンッ!構わん!スイッチを押せ!」
作業員「はい!」
ドリルが回転を始め、掘削機が岩肌を削ったその時だった。
作業員の1人が叫んだ。
作業員「しゃ、社長!岩が、岩が動いてますっ!!」
ドンチャン「フンッ!馬鹿なこと言うな、動くはずないだろ!」

その直後だった。
激しい地鳴りのような音が響いたのち、エンマ岩が僅かに傾き始めた。
ペーター「エンマ岩が、動いてる・・・!!」
間もなく、エンマ岩はゆっくりと山道を転がり始めた。
ミッチェル「た、大変だ・・・!!」
ドンチャン「・・・!!!」
エンマ岩は徐々に速度を増した。
ドンチャン「く、くそ!こうなったら…!!」
作業員「社長、僕らも避難しましょう!」
ドンチャン「あぁ、そうだな。」
ドンチャンと作業員が車に乗り込んだ。そして、ミッチェルとペーターを見た。
ドンチャン「お前らも乗るんだ!ガキとは言え見捨てるわけにはいかない!」
ミッチェルとペーター「はい!」
ドンチャンが車のエンジンを掛けようとするが、なかなか掛からない。
ドンチャン「クソッ!一体どうなってやがる!!」
その間にも、エンマ岩はすぐそこに迫ってきていた。
ドンチャン「チッ!こうなったら走って逃げるしかない!!」
彼らは車から出ると、一目散に逃げ出した。
その直後、エンマ岩が車を押し潰していった。
作業員「ヒィィッ!!」
ドンチャン「あの茂みの陰に避難じゃ!!」
彼らは茂みの陰に身を潜めた。
だが、エンマ岩が姿を見せない。
その時だった。
ペーター「大変だ、後ろからやって来るよ!!」
ミッチェル「ええっ!!?」
彼らは息を切らし、走り続けた。
そして、ようやく山道を抜けることができた。

間一髪、4人は危機を逃れた。
ドンチャン「ふう〜。ぺちゃんこにされるところだった・・・。」
作業員「社長、安心してる暇じゃないですよ!あの岩は街に向かってます!」
ミッチェル「うわぁ〜!街が大変なことになっちゃうよ!」
ペーター「ドンチャンさん、どうするんですか!?」
ドンチャン「あぁ〜、君らが正しかった…。工事をストップしておけば、あんな事には・・・。」
ミッチェル「そうだ、しずえさんに電話して、みんなを避難させるんだ!!」
ミッチェルはスマホを取り出すと、案内所に電話をかけた。
ドンチャン「待て、わしが電話をする!こうなったのはワシの責任だからな。」

〜案内所〜
たぬきち「今日はいい天気で良かっただも!」
電話が鳴った。
しずえさん「はい、案内所です!」
ドンチャン「頼む、急いでみんなを安全な場所へ避難させてくれ!!岩が街へ向かっとるんじゃ!!」
しずえさん「えっ岩が…?」
たぬきち「ああっー!」
窓の外を眺めていた、たぬきちが急に叫んだ。
しずえさん「ちょっと、たぬきちさん!」
たぬきち「岩が転がってきてるだも!早く逃げるんだなも!!」
たぬきちは案内所を飛び出して行ってしまった。
しずえさん「た、たぬきちさん!こんな事してる場合じゃない!」
しずえさんはスピーカーの電源を入れ、島内放送をした。
しずえさん「皆さん、巨大な岩が街へ向かってます!!直ちに避難してください!!」
案内所のスピーカーからサイレンが鳴り響きだした。
「い、岩だって!?」
「大変よ、はやく逃げなくちゃ!!」
住民たちは急いで高台へ避難した。
「なんだー!なんで岩が!?」
「何が起こってるんだ?」
エンマ岩はゴロゴロと音を立てて街を転がり回った。
そしてとうとう、街はずれの化学工場に激突した。
ドシャアアアアアーンッ!!!!!
工場が大爆発し、凄まじい音が島中に響いた。

その後、消防隊が駆けつけ、火は消し止められた。
幸い、怪我をした者は誰もいなかった。
そこにドンチャンとミッチェル、ペーターも駆けつけた。
ドンチャン「あの山はそっとしておくべきだった…。」
この騒動はテレビでも取り上げられ、ジュリアンナ土地開発会社の社長であるドンチャンが謝罪会見を開き、社長を退けることを表明した。
ミッチェル「ドンチャンさんって、最初は怖そうで悪い人だって思ってたけど…。」
ペーター「僕たちのことも忘れずにちゃんと車に乗せて避難したから、根は悪い人じゃなかったね。」
ミッチェル「うん、エンマ岩も元の位置に戻されたし、ジュリアンナテーマパークの建設中止になって良かった。」

The End

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